
国際大学GLOCOM教授である青柳氏の論文「将棋とイメージ思考」を読みました。論文は3年前のものですが、非常に面白い内容だったので紹介します。
論点をいくつかにまとめると以下のとおりです。(敬称は略しています)
・羽生善治が局面を読む時の大脳の働きは常人とは全く違う。
・脳波計を測定した実験によると、羽生が局面を読む時、論理を司る左脳ではなく、イメージ思考を司る右脳の視覚野が最も活発に働いている。羽生がとくに特殊なのは対局中に、脳からアルファ波が出ていること。つまり瞑想をしているようなリラックス状態で読んでいることだ。
・あるプロ棋士は羽生について「終盤の極めて複雑な状況で攻めるか受けるかを判断するひらめき、臭覚が飛び抜けている。これは誰も追いつけないのではないか。なぜなら鍛えようがないから」と評している。
・将棋の技術が進歩し始めたのはここ10年の事であり今は将棋の黎明期である。従来の将棋では中盤に勝負の決着が付くことが多かったが今は序盤に勝負の趨勢が決まってしまうことが多い。
・よってプロ棋士であれば誰も間違わないような簡明で手の長い一本道の戦法ばかりを取っていたのでは、羽生のようなずば抜けた成績は残せない。できるだけ難解な局面に誘導することが、羽生にとって、最も自分の長所を発揮できる戦法である筈だ。つまり手の幅ができるだけ広い、イメージ思考が最も威力を発揮する局面にもっていって戦うのである。
だいたいこんな感じです。
興味のある方は「将棋とイメージ思考」で検索すると、すぐに論文が見つかると思いますので、読んでみて下さい。
イメージ思考の訓練ってどうやるんでしょうかね。
将棋は中盤が一番難しいと言いますが、そこでの思考能力の差が才能の差となるのでしょうか。