
「サバイバルは当たり前」−羽生善治が語る仕事−という朝日新聞の記事を読みました。検索すると簡単にヒットしますので、興味のある方は是非、読んでみて下さい。
以前、このブログでも、
「高速道路と大渋滞

」という中で、梅田望夫氏の「インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞」という記事を紹介して、
−−−
ITの進化とインターネットの普及でどう将棋の世界が変わったか?との問いに対し、羽生善治さんは、「将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということだと思います。でも、その高速道路を走り切ったところで大渋滞が起きています」と端的に答えています。
−−−
という文章に引用しましたが、このとき、この記事の中では、大渋滞を抜け出すにはどうも別の要素が必要だとの結論で、ではその別の要素とは具体的にどうことなのかは書かれていませんでした。
今回の朝日新聞の記事は、まさに、この大渋滞を抜け出す別の要素とは何かという疑問に、一つの答えを、端的に、また分かりやすく教えて下さっているように思えてなりません。
内容が深いので、簡単に要約できませんが、印象に残った一文のみ抜粋します。
「先人が舗装してくれた道を突っ走るという、簡単なことをしていただけではないのか。20歳の私は、舗装された道なら早く走れる力をつけ、腕を上げた。」
この舗装された道というメタファーが、先の文書の高速道路と同じであることはいうまでもありませんね。
「だが、砂利道や道なき道を猛スピードで突っ走れるのか。まだ舗装されていない道を走ることが、私の力ではないかと思い至りました。そのときから意識して砂利道を選ぶようになりました。でもそうすると試合には十中八九負けるのです。私なりのアイデアで勝負していくわけですが、いきなり試合を落とすのでとにかく痛い。ただ逆に言えば、それを考え抜いて克服しようというやる気も出てくるのです。失敗は覚悟で新しい形に挑む、私の将棋はそこが原点だと思います。」
大渋滞を抜け出た第一人者が言う言葉だからこそ、説得力があります。
先に紹介した、梅田望夫氏の「インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞」という記事も併せて読めば、さらに良く分かると思いますよ。
・・・ということで、久しぶりに示唆に富んだ面白い文章に巡り合いました。