

この本は、上達するということはどういうことかを、認知学や記憶心理学などをベースに科学的に分析した本で、なかなか面白い内容でした。
著者は、上達とは単に鍛錬の量や時間だけで決まるものではなく、上達の法則という理にかなった鍛錬が効率の良い上達を生むと考えています。
上達を極めた人と、そうでない人との違いについて、さまざまな事例をあげて比較・検討し、上達の法則は「スキーマ(=枠組み認識)」や「コード化(=思考における知識の言語化)」にあると説明しています。
このあたりの言葉の意味を知りたい方は、是非、本書を読んで確認してみて下さい。
たとえば、上級者特有の性質の一つとして「退屈しにくい、疲労しにくい」というのが上げられていますが、これは、上級者ほど、スキーマとコード化が抱負に出来上がっているので、同じ状況でも上級者のほうが多くの情報を引き出し、無駄なく動けるので飽きないし疲れないということです。
将棋でいえば、同一局面から引き出せる情報の量が、上達者は圧倒的に豊富であるということでしょう。
棋譜や局面を見て、その背景と思考の海を十分に味わい尽くせるような棋力を早く身につけたいものです。
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