
※万が一不都合などありましたら削除いたしますのでご連絡下さい。また敬称を略していますこと、ご容赦下さい。
○プロの間では「筋がいい」というのは褒め言葉ではなくけなし言葉であるらしい。
筋がいいだけでは勝てないから。羽生の選ばれる筋は、素人眼からいうと、ちょっと奇妙なものが多い。
決して洋々たるものではない。また中盤の要所に羽生流?ともいえるような、「一見筋悪・一見悪手」というものが出てくるところがある。しかしそれこそが「名人に定跡なし」の最善手のわけだが。
○創造性以外のものは簡単に手に入る時代だとも言えるでしょう。だから、何かを創り出すのは無駄な作業に見えるけど、一番大事なことなんじゃないかと。それ以外のことでは差をつけようがないので、最後は創造力の勝負になるんじゃないかと考えています。
○羽生は”単純な手順”と”直接的な手順”を嫌う。将棋では「いいときに単純に(直線的に)指し、悪いときは戦線を拡大して複雑に(曲線的に)指す」ことがいいとされているが、羽生はいいときも悪いときも複雑な(曲線的な)手順を選ぶ。
○羽生にしても谷川にしても、エンジンの性能が違って楽に勝っているわけではなくて、相手よりも苦労することができるから勝つことができる。負ける側は勝った側に比べて、自分に対してかける負荷が少なかったから(あるいは、その負荷に耐えることができないから)負ける。
○現代将棋の根本原理は、「あとで指せる手はあとまわしにしましょう」という考え方にある。
○「読む」ことは「結論を見つける」ことではなくて、「結論が出ないように最も引き伸ばす(拡散させる)手を探す」ことなのだ。つまり「これでいい」と思ってしまったら、それは人間としてごく自然の、「早く結論を見つけたい」という願望に屈したということだ。「結論を見つけた」という事実を意味するわけでは全然なくて、「結論の見えなさ」に屈した、ということだ。