
※万が一不都合などありましたら削除いたしますのでご連絡下さい。また敬称を略していますこと、ご容赦下さい。
○昔、山田道美という棋士がいました。打倒大山で、何としても大山の四間飛車を倒そうといろいろ頑張って勉強した。そうしたら、大山、升田の二人は序盤だけの勉強では倒せないと気づいた。二人の将棋は序盤から終盤まで一本の太い線でつながっているんだと。
○将棋で最善手を見つけることは、本当に大切なことです。しかし最善手を見つけることも大切ですが、それよりももっと大切なのが悪手を指さないことです。だから、悪手でない道なら、端でも真ん中でも、どこを歩いてもよいのです。
○私自身、将棋を指すようになってから学んだプロセスがあります。それは初めに最終的な結末を決めてしまい、それにたどり着くまでの道筋を考えるやり方です。
いま現在の局面をもとに、最後の場面を想定する。「最終的にはきっとこうなっているに違いない」というかたちをまず決めてしまい、それから「どのようにつなぎ合わせていけば、現在の局面と結論との間に橋を架けることができるだろうか」と考えるようにしています。
○さて、「直観」を研究している伊藤毅志氏(電気通信大学助教)によれば、将棋のプロ棋士を対象に、アイカメラを使った実験を行った結果から、次のようなことを述べています。
“プロ棋士は何も考えていないようにみえるが、いかに読まないか直観を磨いているのではないか”
○「ためる」とは、手待ちではなく、手作りの工作段階ということだと思う。それ自体はぼんやりしているが、徐々に構想が見えてくる。こういう手を素人の我々は指しにくい。
「ためる」手には勇気がいる。ためているうちに相手の指し手によって局面の文脈が変わってしまって、その間にためた数手が無駄になってしまう、手損になってしまう、という恐れがあるからだ。
しかしプロの「ため」は決して緩手になるどころか、確実に後に活きてくる。それはつまり構想力の問題なのだろう。構想力、デザイン、これは中盤だけでなく終盤でもそうだけど。まあ、素人はまず終盤の寄せの構想力を鍛えることがそもそも肝要なのだろう。