
昨年の奨励会試験の受験を家族会議で決めたのは、その半年前のことでした。
奨励会を受験するときには、師匠への弟子入りということがあります。
親としては何も分からない世界でしたので、師匠の選択というのは本当に難しい選択だと思いました。
昔と違って、今では単なる身元引受人の意味合いしかありませんよ、という話も聞いたことがありましたが、いろいろと考えました。
結果、息子の師匠になって頂いた小倉先生は、自宅近くの同じ町内に住んでいて、月2回の地元の将棋教室でずっと指して頂いていたので、一番自然な選択肢でした。
地域密着型で普及に取り組まれている小倉先生は本当に素晴らしい人柄の先生で、息子には勿体ないと思っています。
「プロを目指すなら早めに奨励会に入った方がいいですよ。半年間あれば何とかなるでしょう。」との言葉を頂きました。あとから振り返ってみると、この弟子入りが一つの転機となりました。
それから、研修会で13連勝してD2→D1→C2と連続昇級したり、小学生名人戦や倉敷王将戦での東京予選で連続優勝するなど、一段と飛躍した感じになりました。
意識の持ち方が変わるとこんなに変わるものか?と驚いたことを覚えています。
弟子入りをお願いしたあと、私が息子に言い聞かせたのは、
「まだお前は子供だから分からないかもしれないが、人様の子供の師匠になって頂けるというのは、本当にありがたいことなのだ。だから師匠に何かしてもらおうなどと甘えた考えではなく(今でも十分お世話になっていますので)、弟子である自分が立派になって、師匠に恩返しをしていけるように頑張りなさい。」ということでした。
子というのは親以外の人様に預けて始めて、人間になる(一人前になる)と私は考えています。
今後とも、小倉先生を始め、大勢のまわりの皆様のお世話になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。